2010年9月1日水曜日

西表島 イタジキ川遡行2 縦断道からマヤグスクの滝へ


20010年9月2日 
西表島 イタジキ川遡行2 縦断道からマヤグスクの滝へ

メンバー:塩月、佐藤、加藤 

朝6時起床。石垣島では雨がけっこう降っていた。
朝7:30、離島ターミナルのコインロッカーに余分な荷物をデポして西表島行きのフェリーに乗る。本当は6:40発の船に乗る予定だったが、私の勘違いで1本遅れた便になってしまった。というのも、離島ターミナルでは二つの船会社が営業をしていて、それぞれの会社によって運行時間、船乗り場が異なる。行き先が同じなのに、窓口が違うので非常に混乱しやすい。今回も違う船会社の乗り場でチケットを渡したときに間違いを指摘され、そのときは既に予定の船は出航した後というなんともお粗末な結果になってしまった。西表島行きのフェリーは“競艇でもしているのか!?”と思うほどのスピードで進む。西表島の上原港には40分ほどで到着。

上原港から浦内川の遊覧船乗り場までは無料の送迎バスが出ている。バスに乗り、島の風景を眺めていると“また再び西表島にやってきたぞ!”という実感がわいてくる。乗船場に到着するころには天気も回復。チケットを買って入山届けを提出する。西表島を縦断する場合には駐在所、営林署に入山届けを出すことが義務付けられている。本当は直接、駐在所に提出したいところだが、乗船場でも受け付けてくれるということなので、ここに提出することにした。念のため、切手を張った上原駐在所の宛先を書いた郵便封筒に入れて提出する。

乗船場で縦断道の情報収集をする。前日に某大学のワンゲル部員がイタジキ川を渡渉できなくて戻ってきたという話を聞く。やはり台風の影響で増水しているようだ。
マングローブの生い茂る浦内川を船で遡上する。船に乗っているのは私たちのほかに年配の夫婦とトレッキングツアーらしき3人組だけだ。出発してすぐに年配の夫婦が“船に酔ったから戻してくれ”と言い出す。“今乗ったばっかりで酔うヒマなんてなかっただろ!!”と突っ込みたくなるほどの距離しか進んでないのに船着場に戻ることになった。なんだか雲行きが怪しい。そして再び船が走り出すころには本当に雲行きが怪しくなって大粒の雨が落ちてきた。最悪な気分になる。

幸いにも軍艦岩に到着するころには雨も上がり晴れ間も出てきた。船を下りるとき船頭さんに“縦断できなくて戻ってくる場合は4時までに帰ってきてくださいよ”と言われる。縦断ではないのだが、どちらにせよこの日戻って船に乗る予定はないので、そのことを説明する。船頭さんの雰囲気から、イタジキ川は渡渉が困難なほど増水していることが予想された。
軍艦岩から少し離れたベンチが設置してあるところでヒルノックを体中に吹きかけた。よく整備された道がマリュドゥの滝、カンピレーの滝まで続く。途中、某体育大学の学生の集団が前を歩くがペースが遅いので道を譲ってもらい先を急ぐ。あたり前だが体育系の若者が多く、挨拶もしっかりしていて気持ちがいい。30分ほどでマリュドゥの滝の展望台に到着する。ここにも大勢の体育大学の学生がいた。総勢50人以上の集団であろうか?地元のガイドと思われる人がこの集団についていた。マヤグスクの滝を越えてイタジキ川を遡行することを話すと猛烈に反対された。入り口のゴルジュは岩が脆く、落石も多い、あんなところを行くのは正気の沙汰ではない・・・みたいなことを言われる。何よりも増水していて無理だというふうなことも。無理かもしれないが今年はヤルつもりで来たので、申し訳ないけど適当に聞き流した
マリュドゥの滝を過ぎるとすぐにカンピレーの滝が現れる。日本離れしたスケールの大きい風景に感動する。でも、カンピレーの滝は“滝”というより“激流”といった感じのところだ。
カンピレーの滝を過ぎると縦断道に入る。道はとたんに悪くなり、歩きにくくなる。けっこうぬかるんでいるのでスニーカーだと大変だ。我々は渓流シューズを履いたままなので、ドロドロであっても気にはならないがフェルトのソールは滑りやすくて苦労する。それにしても暑い。汗が止まらない。佐藤は“山でこんなに暑いのは初めてだ!”と不快感を口にする。それにしてもセミの鳴き声がうるさい。しかも本州で聞くようなセミの鳴き声ではなく、'''壊れた電子機器が爆発寸前に出す不規則で不快な擬音'''のような感じの鳴き声である。加藤はこの音が“シコリテー”にしか聞こえないとワケのわからないこと言い出すし、不快指数は最高潮に達した。私は少し脱水症状になり、激しい頭痛がするようになる。頭痛薬を飲み、多めに水分を補給した。
 第二小屋跡を過ぎて小さな沢を渡渉した。しばらく歩くとようやくイタジキ川出合に到着する。イタジキ川へは浦内川から水の流れの中を入っていった。足をとられそうな水流だが遡行するには問題ない。佐藤に“水の量はどうか?”と聞かれたので、“激多い!”と応える。実際、去年ゴルジュを敗退したときと変わらない水量に感じた。
イタジキ川を遡行してマヤグスクの滝を目指す。左岸側に明瞭な踏み後があるが、沢登りにきたので水流の中を行く。川幅いっぱいにナメが広がり、その向こうには大きな釜を持つ小滝が見える。この景色を見るだけでもここに来る価値はありそうだ。
やがて大きな水の音が聞こえてくると、目の前に半円形の巨大な白い流れが現れる。マヤグスクの滝に到着した。一年半ぶりにまたここにやってきた。熱いものが込み上げてくる。滝は階段状になっていて、右のほうから簡単に登ることができる。
マヤグスクの滝の上は扇形のステージになっている。そのステージの奥には高さ20m以上の絶壁に囲まれたゴルジュが口を開け、ゴウゴウと音をたてながら大量の水を吐き出している。まるで黒部ダムの放水のようだ。水の勢いが強すぎて、ステージを横切り右岸側へ行くことができない。足をとられれば、そのままステージが発射台になりマヤグスクの滝を飛び出していきそうだ。

あまりに異様な風景に加藤はビビッて言葉を失う。逆に佐藤は“これはすごいゴルジュだ!おもしれー!!”と興奮した。どうなる俺たち?


つづく


山と釣り、ときどき映像制作

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