2010年9月1日水曜日

西表島 イタジキ川遡行6 瀞を泳ぐ


2010年9月3日
西表島 イタジキ川遡行6 瀞を泳ぐ
メンバー:塩月、佐藤、加藤 

ゴルジュを抜け、スケール大きなナメ滝を過ぎると、だんだんジャングルっぽいヌメッた岩の多い渓相となる。沢の傾斜もほとんどなくなり、水は深くなっていった。やがて川幅いっぱいに満々と水を湛えた瀞が続くようになる。水の流れはほとんどない。まるでダム湖のようだ。佐藤はザックをビート板のように使い、ガンガン泳いでいく。あっという間に上流へ泳いでいき見えなくなってしまった。加藤も同じようにやってみるが、全然前に進まない。ザックの形状が横に大きいと水に浮かべても安定しないようだ。それにほとんど流れがないといっても、全然ないわけではない。どうしても下流に流されてしまう。結局、加藤は普通にザックを担いで泳いでいった。

 私もカメラがあるのでザックを水に入れることができない。そのまま泳いでいく。泳いでいくのは本当に楽しい。ジャングル的な雰囲気もまた楽しい。あまりに楽しすぎて有頂天になる。なんという開放感!まさに南国、パラダイス!!だけど泳げない人はこの沢の遡行ってどうすればいいんだろうか?カナヅチは沢登りをやらないと思うけど・・・ 
しばらく泳ぐような場所が続く。泳がなくても、ほとんどが腰ぐらいまで浸かって歩く。増水しているせいなのか、岸から伸びる木が近い。川岸ぎりぎりを木につかまりながら歩いたりもした。ほとんど水の中だったので、全然暑くないのがいい。水も思ったより透明度が高くてきれいな気がした。進めば進むほどジャングル的な雰囲気も増してくる。そのへんの茂みから原住民が突然出没しそうな雰囲気だ。どうでもいいけど、パプアニューギニアの山に登ったときは本当に原住民が出没してビックリした。しかも豚をブヒブヒ何匹も引き連れていたので、びびってオシッコちびってしまった。 
しだいに本州でも普通に見られそうな渓相も現れるようになる。奥多摩の沢みたいな雰囲気の苔に覆われた場所もあった。ただ苔の大きさがすごかった。緑の苔がモッサモッサ岩に盛ってあった。
あたり前だけど、ほとんど人が入らない場所なので、岩がめちゃくちゃ滑る。岩のぬめりが取れているところはどこにもない。どこでも滑る。フェルトのソールも利きが悪くて滑りまくった。佐藤も苦労しているようだった。佐藤が山でズッコケルのを私ははじめて見た。しかも一度や二度ではなかった。当然、私はそれ以上にズッコケタ。
やがて川幅も狭くなってくる。といっても傾斜がきつくなってくるわけでもない。あいかわらず水平に近い。そして瀞も多くて何度も泳いだ。全体的に暗くなり、両岸からジャングルが迫ってくるような感じがする。だからといって瀞がずっと続くような単調な感じではなかった。突然、釜を持った小滝など現れたりする。それが妙に西表島っぽくてよかった。
大きく流れが右に曲ったところで、右岸側から沢が流れ込んでいた。ちょうど広い瀞になっているので“流れ込んでいた”といっても流れは全然ない。しかも本流が広い瀞なので比較すると10:1ぐらいにしか見えない細い流れだったが、地形図で明瞭な二俣になっている場所に間違いなかった。今回はGPSを持っていたので、安心して位置を特定できた。西表島のような高低差があまりなく、視界がきかないような場所ではGPSナビが非常に便利である。
そしてこの二俣もやっぱり泳いだ。
すぐにまた右岸側から支流が入る。あいかわらず水は深い。やがて苔に覆われた美しい景色になり岩が多くなる。苔に覆われた短いゴーロ帯を過ぎると突然目の前に明るく視界がひらけた。
そこには100メートル以上も伸びる、見事なナメが広がっていた。気がつけば僕らは駆け出していた。 

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