2010年9月1日水曜日
西表島 イタジキ川遡行3 ビバーク
20010年9月2日
西表島 イタジキ川遡行3 ビバーク
メンバー:塩月、佐藤、加藤
マヤグスクの滝の上で、ゴルジュの中を覗き込む。佐藤“見える感じだと、二番目の滝の左から登れそうですね”と、ゴルジュ攻略のイメージができた様子。時刻は午後2時ごろ。まだ行動する時間はある。そのまま突入するかと思いきや佐藤から意外な言葉が・・・“今日はこれでビバークしましょう”
彼の考えでは”一晩まてば絶対に水は少なくなる!”ということだ。これだけスラブの岩が続く沢は、水を溜めずにすぐに流れてしまい水の引きも早いという予測を立てた。いずれにせよ尋常じゃないゴルジュなので、一日待って朝一番に突入したほうが時間的にも体力的にも余裕がある。ここは慎重に行動することにした。ただし夜、雨が降らないという保障はないが。
佐藤は“テント設営してますわ!”と言って、先に行ってしまった。加藤を見ると明らかに動揺しているのがわかる。無理もない。私も去年このゴルジュをはじめて見たときは、正直ビビッタ。しかしそのための準備を1年間してきたつもりなので、今は恐怖心よりもここに戻ってきたという喜びのほうが強い。加藤に“安全第一でやるから絶対に大丈夫だ”と声をかけるも。“はあぁ~・・・”と頼りない返事が返ってくる。加藤は大学時代は山岳部だったし、フリー(クライミング)もそうとうやっていたと聞いている。このゴルジュを突破できる実力は間違いなくあるだろう。あとは気持ちだけだ。一晩ゆっくり寝れば気持ちも落ち着くだろう。どうでもいいけどテント設営すると言って佐藤は先に行ってしまったが、テント一式を担いでいるのはオレなんだけど。
イタジキ川の下流に、河原が広くなった絶好のテン場を見つけた。
佐藤はそこで“大ウナギを釣る!”と言って、鶏肉をエサに使った仕掛けをしこんでいた。川の中を見るとテナガエビがウヨウヨいる。夕食の足しにこいつらを捕獲することにした。テナガエビは加藤が持ってきた蝶を採取するための網を使って捕獲した。加藤は大学院までいって蝶の研究をするほど蝶が好きで、卒業した今も“アマチュア蝶研究家”として活動している。今回の西表島も、珍しい蝶を観察できると聞いて参加したようなものだ。しかし実際は蝶をほとんど見かけることもなく、テナガエビばかりを採取することになった。蝶を採取するための網をテナガエビを捕るために使うのを最初は嫌がっていたが、山岳部の先輩だった佐藤には逆らえずテナガエビ専用の網となってしまった。
大ウナギは釣れなかったが、テナガエビは大漁だった。テナガエビは日が暮れるとよく獲れた。暗くなると目があまり見えなくなるのか昼間のような機敏さがない。大きいエビは塩焼きにして、小さいエビは味噌汁に入れて食べた。どちらも激烈に美味かったが、小さいエビのほうが甘みが強くておいしく感じた。
去年はキャンプをしていてヒルやダニの襲来に悩まされたが、今回はほとんどヒルを見かけなかった。パンツ一枚でいた佐藤がヒル1匹にやられたぐらいだ。これも猛暑の影響なのか?
テントはカヤライズを用意して正解だった。とても暑くてシュラフカバーだけで十分だった。シュラフも軽量化のため持ってこなくてよかった。
ラジオで天気予報を聞いた。翌日は晴れ間が続くようだ。よかった。ただ台風9号が近づいてるらしい。空には満天の星空が広がる。山(山岳)で見るよりよく見える。離島は周りが海で、街明かりが無いからだろう。天の川の流れがこれほどはっきり見えたのは初めてだ。翌日のゴルジュ突破もうまくいきそうな気がした。
つづく
山と釣り、ときどき映像制作
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